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二宮真佑子のブルズびいき

Vol.35 “いつでもゼロ地点、託された思いを力に“大澤歩

静岡で生まれ、6人兄弟の末っ子として育った大澤選手。愛情たっぷりに育てられた彼に付けられた名は「温室育ちのマスクメロン」。両親や兄姉から受けた愛情を力に変えて幼き頃から夢みてきたプロバスケット選手へと成長した大澤青年。
昨年経験した右膝の怪我からの復帰も家族の存在なしでは語れない。谷から山へと足を止めることなく歩み続けてきた大澤選手のモットーは、“いつでもゼロから”。
持ち前のキャプテンシーでチームを牽引してくれることはもちろん、得意のピックアンドロールを使ったプレーや泥臭いディフェンスでチームに勢いを与える存在に。
ざっくばらんに話す大澤選手の家族愛溢れるエピソードは必見!!

“地元静岡への恩返しも込めて、岩手ビッグブルズに自分の力を全て捧げる”

―大澤選手は2019−20シーズンB3に新規参入したベルテックス静岡に移籍する。地元でプロバスケットボールチームができるとは思ってみなかったと話す大澤選手は、静岡での2年間を特別だったと振り返る。今季岩手では静岡での恩返しの思いも込めて進化の姿を見せる思いだー

二宮:静岡にはB3リーグ参入年からいらっしゃいますよね。自分の地元にプロスポーツチームができて、そこで選手として戦えたこの2年間ってどうでしたか?
大澤:そうですね。地元のチームっていうことで、ものすごく覚悟をもって移籍をしたっていうのはあります。正直自分の地元にプロバスケットチームができるなんて想像もしていませんでしたから。でも、静岡にチームができて自分を必要としてくれて、恩師の方や親、兄弟、先輩、後輩に静岡でバスケットをしている姿を見せることができたっていうことはすごく貴重な2年だったなって思います。地元に帰ってきて改めて様々な人とのつながりを感じた時間でした。
二宮:静岡の方々は、岩手の大澤歩のプレーも楽しみにしていると思います。 大澤:今回静岡から岩手に移籍することも正直相当な覚悟をもってきました。どんな形であれこうして移籍をして岩手ビッグブルズに自分のもっている力を全て捧げる気持ちできているので、静岡とやる時には、もう静岡をボコボコに。
二宮:(笑)
大澤:ってできるくらい、自分たちはやらないといけないと思いますし、自分自身もやっぱりそういう風にやることが静岡に対しての恩返しだと思っています。

“ネガティブなことばかりではない。大きな怪我を乗り越えてシーズン通してプレーできたことは自分自身にとってすごく自信になっている”

―そんな静岡時代はバスケ人生の転機に。昨年2020年2月に右膝前十字靭帯損傷および右膝内側半月板損傷と大きな怪我を経験。立ちはだかる壁にも恐れず大澤選手はただただ前を向いていたー

二宮:復帰の昨シーズンは振り返ってどうでしたか?
大澤:小学校3年生の頃から始めて今までこういう大きな怪我はありませんでした。1年も全くプレーができなかった中で、物凄く考えさせられましたし、復帰しても色々と考えさせられることが多かったです。でもこの1年は、自分の中でネガティブなことばかりではなくて、こういう大きな怪我を乗り越えたあとに1年間しっかりとシーズン通してプレーできたってことは自分にとってすごく自信になっています。この前十字靭帯損傷っていうのは復帰1年目より2年目の方がよりパフォーマンスが上がるって言われているので、こうやって岩手に移籍させてもらえて、よりいいパフォーマンスを岩手ビッグブルズで見せることができると思ったら、自分にとってプラスでとても楽しみです。

“こんなところで弱っていちゃダメだな。逆に引き出されました”

二宮:プラスに変えて進んでいる大澤選手ですが、ゲガの当初はそうはいかなかった? 
大澤:そうですね。正直怪我した時はすぐ頭の中で「あ、もう引退かな」って思いました。だけど、怪我した時に奥さんのお腹の中に子どもがいて、生まれてくる子どもにバスケをやっている姿を見せてあげたいなっていう気持ちがあったので。それから奥さんや親、兄ちゃん、姉ちゃん、先輩、後輩、ブースターさんの声があって「よし、頑張ろう」って。コートに立つ姿を、立って活躍する姿を見せないとなって思えましたね。
二宮:家族からの声で、今でも印象に残っているお言葉ってありますか?
大澤:やっぱり奥さんが自分のことをよく理解してくれていると思うので、奥さんからの一言は大きかったですね。「頑張ってねっていう言葉は頑張っている人に対しては言えないから、今はもう無理しなくていいんじゃない」って。この言葉で「こんなところで弱っていちゃダメだな」って逆に引き出されました。手の上で転がされたっていう(笑)
二宮:そういう思いに導いてくれたんですね。やりますね、奥様!
大澤:本当にすごいなって思います。

“35歳までは現役で。プロバスケット選手としてコートに立って表現したい”

―今年で30歳を迎えた大澤選手にとって今は分岐点。試練を乗り越えたからこそ、プロバスケット選手としてどうありたいのか、この先の道がはっきりとしていた―

二宮:静岡から岩手への移籍、改めて教えていただけますか?
大澤:自分自身30歳になって分岐点というか現役を続ける人もいれば、引退を決意する人もいる。色々と考える時期だとは思うんです。その中で自分の中では35歳まで現役でやりたいと思っているんですけど、そうなった時に1年1年無駄にしたくないっていう気持ちが強くて。自分としては、プロバスケット選手っていうのはコート立って表現してなんぼだと思っているので、必要としてくれるチームに自分のパフォーマンスを出したいっていうのがありました。そういう思いの中で岩手ビッグブルズに声をかけて頂きました。環境面でも専用アリーナがあることでバスケットにしっかりと向き合える、もう1回チャレンジできるっていう思いに移籍を決意することができました。

―さらなるチャレンジを岩手に選んだ理由はもう1つ。同級生で高校時代から仲良しの鈴木友貴A Cの存在だ。切磋琢磨した青春時代があるからこそ、それぞれ向き合った怪我の経験があるからこそ、立場は違えども目指す方向、思いは1つ。同級生コンビが起こすチームケミストリーにも期待したい―

大澤:友貴さんがいてくれるのは心強い。友貴さんって呼んだことないですけどね(笑)
二宮:(笑)いつもは呼び捨て?
大澤:はい、友貴です(笑)そこは馴れあいじゃなくて。選手とアシスタントコーチっていう立ち位置で、彼もずっとプロでやってきたので選手の気持ちはわかってくれていると思うので、岩手で戦いたいって思えた理由の1つでした。

“What’s upからのハイタッチ。小さな日常でのコミュニケーションから信頼をつくる”

―そんな大澤選手がチームメイトの中で注目している選手は―

大澤:やっぱりカイル・リチャードソンですね。相当やられたイメージがあるので。サイズはそんなにないですけど、フィジカルは強いし飛ぶし、真面目に堅実にコンスタントに大崩れしない選手だなって思っています。
二宮:そんな彼と一緒にプレーをするわけですが、どのように関わっていきたいですか?
大澤:英語はちょっとしか喋れないんですけど、話すことで向こうも心を開いてくれると思うんです。まずはバスケットの前にしっかりとコミュニケーションをとってやっていきたいなって思います。
二宮:これまでも外国籍選手に対しては積極的に話かけていたんですか?
大澤:そうですね。常に自分から話にいっていましたね。分からなくてもとりあえず「What’s up」って言ってハイタッチをするっていうのが大事です!あとは、外国籍選手同士で言っている単語を真似する。全然知らないのに適当に同じことを言ってみると向こうからしたら“馴染もうとしてくれている”って思ってくれるので、あえて絡みにいくっていうのは心がけていますね。
二宮:そういう小さな関わりがあるからこそ、プレーに活きてくる。
大澤:もちろんあると思います。結局バスケットは5人をはじめ、ベンチメンバー、フロントスタッフ全員で創り上げていって、みんなが同じ方向を向いた時に強いチームが絶対できると思うので、そうなった時にやっぱり信頼関係が大事だと思います。最後、外国籍選手がパスを出したいと思ってもらえるような、逆に出そうと思える信頼関係を築く、それは小さな日常でのコミュニケーションからつながるのかなって思います。

“へその緒の強固なつながりも越えたい”

二宮:ご自身の性格をひとことで言うと?
大澤:負けず嫌いですね。
二宮:バスケに関係なく、日常でも言えることですか?
大澤:はい。奥さんと僕で、子どもに“おいでおいで”って言ってどっちにくるかっていうことでも。そりゃ奥さんの方がずっと長く一緒にいるので、ママ、ママってなるんですけど、それでも負けたくないって思いますね。
二宮:(笑)
大澤:奥さんと息子はへその緒でつながっていた中なので強固なんですけど、それをいかに割って入れるかっていう。
二宮:息子さんの心を惹きつけるための作戦はあるんですか?
大澤:とりあえず甘やかすってことですね。怒らないっていう、怒るのはママの役(笑)

“あなたはね、温室育ちのマスクメロンよ“

―1歳の息子さんにはとことん甘いと話す大澤選手だが、自身も愛情たっぷり育てられたという。大澤選手は6人兄弟の末っ子。居酒屋を営んでいた両親が働く時間は、5人の兄や姉たちが面倒をみてくれた。何にもかえがたい家族の存在は、大澤選手の原動力そのものなのだ―

二宮:兄弟6人ということで、毎日賑やかそうですね。
大澤:本当にテレビに出るようなまさに“大家族”っていう感じです。両親は飲食店をやっていたので兄弟がその間に面倒を見てくれていたので。親に近いような存在でした。
二宮:それこそ、甘やかされていたのでは?(笑)
大澤:めっちゃくちゃ言われます。兄や姉が買っているポテトチップスとかを“これ食べていい”って親に聞くと“いいよ”って言うので食べると、学校から帰ってきた兄や姉が、“え、なんで食べてるの?”って。“母さんいいって言ったもん“みたいな(笑)本当甘やかされていたので、大人になった今も言われます。「あなたはね、本当甘やかされていたから温室育ちのマスクメロンよ」って。
二宮:マスクメロン・・・高級ですね。
大澤:そうなんです、高級なんです!(笑)でも相当貧乏でした。自分は一番下で甘やかされているので、高校までは貧しい家だって思っていませんでしたけど。だから、上の兄ちゃん姉ちゃんが自分に夢を託してくれたっていうのはあります。父親は中学校3年生の時に亡くなっているんですけど、自分はずっと「プロになる」って言っていたので、それを兄ちゃん姉ちゃんたちが高校、大学って背中を押してくれたんです。兄姉は、これもだめ、あれもだめだったんですけど、自分だけはバッシュや洋服っていうのは買ってもらえて、大学まで行ったのも自分だけなので。だからこそ怪我した時も「こんなところで簡単に辞められないな」っていう思いがありましたね。
二宮:お話を聞く限り、家族のつながり、絆が深いんでしょうね。
大澤:そうですね。家族はすごく仲がいいですし、良いことも悪いことも共有し合える仲だなって思います。

“テントサウナとパンケーキ“

―最近ハマっていることは今、流行りのテントサウナ。キリッと冷えた川の清流の水風呂や森林での外気浴、自然を全身で感じてリフレッシュ。さらに、大澤選手の好物はパンケーキ!夫婦仲を深める秘訣でもあるんだとか★―

二宮:サウナには、いつからハマっているんですか?
大澤:結構前から好きです。香川の時はスーパー銭湯がスポンサーさんでいらしたので、練習終わってお風呂入ってサウナ入って帰るっていうのをしていましたね。静岡では、テントサウナを持っている方がいて一緒に入らせてもらってすごく良かったです。
二宮:普通のサウナと何が違うんですか?
大澤:普通のサウナは室内ですけど、テントサウナは外なのでそれこそキャンプ場とかでもできるんです。水風呂は、そのまま川に入ったり。自然を感じるプラス、サウナでデトックスできるので良いですね。
二宮:サウナの良いところって?
大澤:なんなんでしょうね。あまりサウナの中では話したりとかしないので、じっくりと自分と向き合えるところがあるのかなって思います。
二宮:他にハマっていることは何かありますか?
大澤:カフェ巡りも好きですね。パンケーキが好きなんですよね。静岡はどちらかというとパンケーキが食べられるところがあまりなかったので。香川の時はそういうカフェが結構あったので食べに行っていました!
二宮:パンケーキ好きなんですね!
大澤:チートデイみたいな、オフの時に食べにきますね。1人じゃ食べきれないので、奥さんとシェアしたりして仲を深める1つの方法でもあります。

“常に心の中にはゼロからだよっていう気持ちがある“

―小学3年生で始めたバスケット。大学生の時に初めて選んだ背番号が0だった。これまで積み上げたもの、これから創り上げていくもの。いつも心に留めておきたいのは“初心忘れるべからず”どんな状況でも乗り越える強さの原点がここにあった―

二宮:背番号0、由来を教えてください。
大澤:常にゼロからのスタート、初心を忘れないっていう気持ちで0を選んでいます。静岡に帰ってくることも挑戦でしたけど、再び地元を離れて知らない土地にいくっていうこともよりチャレンジなことだと思っています。このゼロっていうのは色々な意味で考えることができるので常に自分の心の中には“ゼロからだよ”っていう気持ちがあります。

“チームに足りないものを自分が表現できるように。最後にブースターさん達と笑っていたい”

―最後に、開幕を楽しみしているブースター・ファンの皆様へ―

大澤:歴史ある岩手ビッグブルズでプレーさせていただけることに嬉しく思います。このチームに移籍をしてきて、チームに足りなかったものを自分が表現できるように一生懸命やっていきたいと思います。復興ということに対しても自分の目で見て感じて、バスケットを通じて子どもたちに夢や希望を与えられるようにしていきたいです。そして、最終的な目標としてB3優勝、B2昇格。結果を求めすぎず、目の前のことをコツコツとやっていくことが1番で、最後にブースターさん達と笑っていられるようなシーズンにしたいと思っています。

※次回は、#12エリック ・マッカーサー・ジュニア選手です。乞うご期待!

【書き手】
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■氏名 二宮真佑子(にのみやまゆこ)
■生年月日  1989年7月25日
■出身地  神奈川県横浜市
■経歴   玉川大学教育学部教育学科
2012.4~2015.3 横浜市内の小学校勤務
2015.4~2020.3  NHK盛岡放送局(出演者契約)ニュースキャスター、中継リポーター、番組ナレーション、イベントMC、講演会など幅広く担当。
2020.4フリーアナウンサーとして独立。
2020-21 岩手ビッグブルズアリーナMC
2021-22  岩手ビッグブルズアリーナMC
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