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二宮真佑子のブルズびいき
Vol.6“チームを照らす不屈のキャプテン”伊藤良太#16

Vol.6“チームを照らす不屈のキャプテン”伊藤良太#16

新しい出会い、経験が好き。知らなかったことを知ることができるチャンスだから。
好奇心に溢れアグレッシブな伊藤選手は、まさに気さくな人柄が印象的だった。
元は東京海上日動の営業マンをしながらバスケット選手としての二足の草鞋を履いていた伊藤選手は、今季よりプロ選手一本に転向した。プロの厳しさを痛感しながらもこれまでにないバスケットの醍醐味を感じたと語る。また、チーム一の読書家でもある伊藤選手がおすすめ本を紹介。本を通して地方を盛り上げたいという伊藤選手の熱意も見えてきた。

今シーズンを振り返って「歩」

―プロの道1本で。伊藤選手が覚悟を持って踏み切ったシーズンだった―
伊藤:今までは、サラリーマンとして働いていたのである程度先が見えるというか、レールに乗った人生を送っていました。でも今、そこを退職してプロ選手として、個人事業主じゃないですか、そういった意味で自分の足で歩いているようなイメージを描いてこの漢字にしました。プロとして歩ませてもらった初めての場所なので、岩手ビッグブルズには本当に感謝です。

―伊藤選手は、過去に日本人選手得点ランキング2位に入るなど、得点力の高い選手。
これまでは、得点を取ることでチームを勝利に導いてきたが、今シーズンは、
PGとして粘り強い激しいディフェンスからゲームを作り出していくパッサーに専念。
これまでにないバスケットの醍醐味を感じたという―

伊藤:どちらかというと今まで大学や岐阜の時は、自分が得点を取ることでチームを勝利に導いていた部分が多かったんです。そういった意味で今シーズンは、PGとしてのあり方っていうのを改めて考えさせられた期間でした。周りのメンバーを気持ちよくさせてあげられたりとか、気持ちいいパスを出せたりとか、素直に「すごいバスケットを楽しめた」って感じることができた期間でした。プロの厳しさを知りつつ、バスケットの楽しさをすごく知ることができたシーズンだったと思っています。

―さらに伊藤選手には新たな使命が。シーズン途中からキャプテンとしてチームを牽引。献身的な姿勢でチームを鼓舞した―
二宮:キャプテンとして初めての試合、静岡戦はどのような心境でしたか?
伊藤:緊張しましたね。いつも通りを意識していたんですけど、どうしてもキャプテンになったっていうのが脳裏から離れませんでした。とにかくチームが勝つためにベストを尽くそうってことだけを考えていました。
二宮:キャプテンとしてどのようなことを心がけたのでしょうか?
伊藤:僕自身のキャラも含めて、とにかく助けてほしい!って言いました。こういう期間で変わって、ちょっと苦しいけど俺も頑張るから、一緒に頑張ろうという話をしたのを覚えていますね。それが結果的によかったのか、悪かったのかわからないですけど、みんなとコミュニケーションをとって、出来る限り同じ方向を向かわせるような意識をして取り組みました。

プロの道のその先に

―大学卒業後、サラリーマンとバスケット選手という二足の草鞋を履いてきた伊藤選手。地方の現状を綴ったある記事が、伊藤選手の心をプロ1本の道へと突き動かした―
伊藤:僕が見た記事は、住んでいる地域、地方によって子どもたちの選択肢が変わってくるみたいな内容だったんです。僕の中ではインパクトが大きかったのを覚えています。
それと同時に、自分のことばかり考えているのが虚しくなって、周りの人に何かできないかなって思いました。バスケは好きですけど、それだけじゃない自分がいたんですよね。バスケを通じて地方を盛り上げたり、教育に活かしたりしていけないかなって。サラリーマンをやりながらだと、そういう時間を割くことができないので、であればプロの道に進んでそういう活動をしていくことができるかもしれないって思ったんです。

―地域とのつながりを大切に岩手ビッグブルズは伊藤選手の思いに重なったという―
伊藤:実際に沿岸の保育園の子どもたちに読み聞かせに行っているとか、スクールとかは、スポーツチームとしてのあるべき姿だなって思いました。
もちろん、勝ち進むことも大事だけど、同時に地域から愛されないと発展はしていかないと思うので、それはプロに入って良かったなと思いました。岩手に入って、自分の思いと重なる部分が多かったと思います。

今に集中、宿命に耐え、運命に戯れ、使命に生きる

―伊藤選手の座右の銘。今に集中、宿命に耐え、運命に戯れ、使命に生きる。
ゲン担ぎにもなっていて今の自分も支えている。
高校時代に挫折を経験。乗り越えるきっかけとなった父親からの言葉だった―

伊藤:高校の時は、2年間試合に出られないのが続いて本当に腐りかけていたんです。
出たら出たらで、最後トラベリングをして終わるっていう、恥ずかしさにも程があるようなことがあったりしたんです。神奈川から京都までわざわざ試合を見にきた親にトラベリングを見せつけたんですよ(笑)その時に父親から言われたのが、この言葉でした。3年間出られないかもしれない先の不安とか、怖いもの知らずだった中学時代の過去の自分とか、色々気にしても仕方ない、今を生きろっていうことでそういう言葉をかけてくれたんだと思います。その後は、自分自身とちゃんと向き合って自主練に励んで試合に出られることができたので、やっぱりこの言葉は大きかったんだと思います。

―読書家の伊藤選手「本は人と会うことと同じで、新しい出会いと経験ができる」と語る―

―バスケットに活きる本を選ぶことが多い伊藤選手が心動かされた本を用意してくれた―

1兆ドルコーチ シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え
伊藤:キャプテンになった時に読んだ本ですね。一番印象に残ったのは、「チームファースト」という考えです。ビジネス界でもスポーツ界でもそうですけど、チームにとって何がいいのかを熱く書かれています。プロになると自分本位というか、必要だけれども、そればかりだとむしろ自分本位にならないケースが出てくるので、チームが勝つためにはどういう行動、発言がいいのかをいろいろな視点で書かれています。

持続可能な地域のつくり方 未来を育む「人と経済の生態系」のデザイン」
伊藤:地域をどう作るのかっていう特に「コミュニティ」の重要性が書かれていて、自分が今考えていること、やりたいことに通じていて面白いです。岩手は車社会だし、他業種と交わる機会ってなかなか少ないですよね。違う業種と関わることで、自分の選択や視点が変わるし、新しい学びが得られるなと思っていて、結果的に子どもたちに色々な選択肢を出せるきっかけになると思っています。
釜石に同級生がいるので、その人とそういう機会を作れないか考えています。

―最後に、今シーズン熱い声援を送ってくれた皆様にメッセージを―
伊藤:シーズン最後の最後まで応援してくれてありがとうございました。こういう形で終わってしまってすごく残念です。多分ブースター、ファンのみなさん同じだと思います。次始まった時にまた一緒になって喜ぶことをすごく楽しみにしているので、この期間も大事に過ごして、またコートで会いましょう。引き続き、応援よろしくお願いいたします。

※次回は、#30髙橋幸大(たかはし・こうだい)選手です。乞うご期待!